このページでわかること
- 「発達障害(神経発達症)」の全体像(短く)
- いまの困りごとから、読むべきページが分かる(迷子防止)
- 受診の目安(様子見でよいケース/整理した方がよいケース)
- 当院が重視する「困りごとの地図」(見立ての軸)
- 家庭・学校で効きやすい共通原則(環境→スキル→体調)
- 関連ページ(院内リンク一覧)
はじめに
「発達障害かもしれない」と感じて検索された方へ。
“発達障害”は日常で広く使われる言い方で、医療では「神経発達症」と呼ぶことが多い概念です。
大切なのは、診断名を付けることより先に、
どこで困っていて、何を整えるとラクになるかを整理することです。
このページは、そのための案内図(全体の地図)として作っています。
まずはここから:困りごと別「読むべきページ」
診断名がまだ分からなくても大丈夫です。困りごとからページを選ぶ方が、読者にとって迷いが少なくなります。
対人関係の誤解/こだわり/感覚の敏感さが中心
忘れ物・先延ばし/切り替え困難/衝動性が中心
読む・書く・計算で極端に消耗する
(理解はあるのに評価に届かない)
まばたき・首振り・咳払い・声などが
「やめたくても止めにくい」
理解のペース/不器用さ/会話の困難が目立つ(ASD/ADHD/SLDだけでは説明しづらい)
発達障害(神経発達症)とは|全体像
発達障害(神経発達症)は、ひとつの病気の名前ではありません。
生まれつきの脳の特性により、学習・生活・対人のどこかで負担が上がりやすくなり、環境条件が合わないと困りごととして表面化しやすい状態です。
同じ診断名でも困り方はさまざまですし、診断がはっきりしない段階でも支援が必要なことがあります。だから当院では、まず「困りごとの構造」を整えるところから始めます。
よくある誤解|受診前に整理しておきたい3点
- 「本人のやる気の問題」だけでは説明できないことがあります
叱責を重ねても改善しにくい困りが続くとき、背景に特性の負担が隠れていることがあります。 - 「家庭のしつけ」だけで決まるものではないことがあります
関わり方の工夫に加えて、刺激量・手順・見通しなど“設計”が効くことが少なくありません。 - 「診断がついたら終わり」ではありません
診断名の有無にかかわらず、困りごとに合わせて支援を具体化することが大切です。
診断と評価|当院が重視する「困りごとの地図」
当院では、診断名を正確につけることよりも、まず困りごとの構造を整理します。
評価は次の3つの軸で見ると、支援が具体化しやすくなります。
1)困りごとが起きる場面(どこでうまく回らなくなるか)
- 家庭(朝、宿題、片づけ、きょうだい)
- 学校(授業、板書、提出物、集団活動)
- 友人関係(距離感、言い方、誤解)
- 外出・習い事(刺激、切り替え)
2)特性のプロフィール(得意・苦手の偏り)
「できる/できない」の評価ではなく、どんな条件なら力が出るかを見立てます。
- 注意・集中、衝動性
- 段取り(実行機能)
- 感覚敏感・鈍感
- ことば・理解
- 読み書き・算数
- 運動・手先
3)二次的な影響(今、特性以外のつらい部分はないか)
困りごとが続くことで、ストレスや失敗体験が積み重なり、心身に不調が出ることがあります。
- 不安、抑うつ、睡眠の乱れ
- 自己否定、回避、登校しぶり
- 家庭内の衝突、疲れ切り
必要に応じて心理検査・質問紙、学校情報などを組み合わせ、
「何を、どこから、どう変えるとラクになるか」
を一緒に組み立てます。
支援の共通原則|「環境」→「スキル」→「体調・併存」の順で整える
支援は大きく 環境を整えることと、やり方を身につけることに分けると整理しやすくなります。
“本人を変える”より前に、
“困りが起きにくい条件”を作る方が、
現実的で効果的な場面が多いのが特徴です。
環境調整(困りごとが起きにくい調整)
- 刺激の調整(席、音、休憩、別室)
- 量と時間の調整(課題量、締切、評価方法)
- 手順の見える化(チェックリスト、テンプレ、タイマー)
- 誤解を減らす共有(「わざと」ではない、を周囲で共有)
スキル支援(やり方を身につける)
- 段取りの型(朝の流れ、持ち物、宿題の進め方)
- 学び方の工夫(要点化、例示、代替手段)
- 伝え方・頼み方(困ったの言語化、ヘルプ要請)
- 症状や困りが強いときは、睡眠・体調の立て直しや、併存症状への治療を組み合わせます。
家庭でできる工夫(“叱る前に調整”)
家庭は「毎日繰り返す場面」が多い分、工夫が効果につながりやすい場所です。
まずは負担が大きい場面を1つ選んで整えるのがおすすめです。
- 指示は短く1つずつ(まとめて言わない)
- “できない”より手順化(やる順番を固定)
- ミスは本人のせいにせず、仕組みに戻す(置き場所、チェック表)
- 疲れのサイン(不機嫌・無言・頭痛・回避)は早めに休む
学校での支援(「特別扱い」ではなく参加しやすくする調整)
学校での配慮は、学習や生活の機会を確保するための調整です。
- 板書・提出の形式を調整(配布、撮影、穴埋め、入力)
- 評価の調整(時間、量、形式、実技)
- 見通しを明確に(今日の流れ、ゴール、優先順位)
- トラブル時は「反省」より「整理」(次の行動を具体化)
受診の目安
- 頑張っているのに追いつかず、本人の自信が落ちてきている
- 学校での誤解(やる気がない等)が増え、叱責やトラブルが続く
- 不器用さ・段取りの苦手さで、板書・提出・実技が強い負担
- 「グレーゾーン」と言われたが、家庭や学校で何を変えればよいか分からない
- 不安、抑うつ、睡眠の乱れ、登校しぶりが重なってきている
受診=すぐ診断・すぐ薬、ではありません。まずは現状を言葉にして、支援の選択肢を整理するところから始めます。
当院でできること
- 困りごとの整理と、特性プロフィールの見立て
- 家庭・学校での具体的提案(環境調整/学び方の工夫)
- 必要に応じた心理検査・発達評価
- 保護者相談、学校連携(情報提供書など)
よくある質問(FAQ)
発達障害と神経発達症は違うのですか?
呼び方の違いが中心です。大切なのは「困っている場面」と「助かる工夫」を整理し、生活が回る形を作ることです。
診断がつくと、レッテルになりませんか?
目的はレッテルではなく、支援の具体化です。診断名がなくても、困りごとが整理できれば支援は進みます。
学校にはどう伝えるといいですか?
「症状」より「困る場面」と「助かる配慮」を短くまとめると伝わりやすいです。当院でも整理したり、学校連携などのお手伝いができます。
参考文献・ガイドライン(抜粋)
- American Psychiatric Association:DSM-5-TR
- World Health Organization:ICD-11
- 文部科学省:特別支援教育・合理的配慮に関する資料
- 国立特別支援教育総合研究所(NISE):合理的配慮の解説
- 発達障害情報・支援センター:解説ページ など
関連ページ(院内リンク)
- 自閉スペクトラム症(ASD)とは|子どもの特徴・診断・支援と「強み」の活かし方
- 注意欠如・多動症(ADHD)とは|子どもの特徴と支援・強みの活かし方
- 学習の困難(SLD/LD)
- チック症/トゥレット症
- その他の神経発達症(知的・DCD・コミュニケーション症)
まとめ
発達障害(神経発達症)は「性格」でも「努力不足」でもなく、特性と環境の噛み合わせで困りごとが形になります。
まずは困りごとの地図を描き、環境とやり方を整えるところから始めていきます。