子どもの不安障害とは

登校不安・体調不良の相談

目次

子どもの不安障害では、強い心配や緊張、恐怖によって、登校、学習、対人関係、睡眠などに影響が出ることがあります。

腹痛、頭痛、吐き気、動悸など、身体の不調として現れることも少なくありません。

現在の診断名では「不安症」と呼ばれますが、本ページでは、一般に検索されることの多い「不安障害」という表現も用いながら説明します。

要点

子どもの不安障害は、単なる「心配性」や「気にしすぎ」ではありません。

不安が強くなると、学校へ行く、人前で話す、家族から離れる、新しいことに取り組むといった日常の行動が難しくなることがあります。

大切なのは、次の3点を確認することです。

  1. どの場面で不安が強くなるか
  2. 不安のために何ができなくなっているか
  3. 身体症状や睡眠の乱れが重なっていないか

支援では、不安を完全になくすことだけを目標にするのではなく、不安があっても少しずつ生活できる範囲を広げていきます。

※本ページは自己診断を目的としたものではありません。受診や支援を考える際の参考としてご覧ください。

受診の目安

次のような状態が繰り返しみられ、学校生活や家庭生活に影響している場合は、相談をご検討ください。

  • 登校前になると、腹痛、頭痛、吐き気、動悸などが出る
  • 学校へ行こうとしても、玄関、校門、教室などで動けなくなる
  • 発表、音読、給食、集団活動などを強く避ける
  • 家族から離れることへの不安が強い
  • 失敗、友人関係、成績、将来などを過度に心配する
  • 何度も安心や確認を求める
  • 家庭では話せるのに、学校や園では話せない
  • 突然の動悸や息苦しさを繰り返し、その後も発作を心配している
  • 注射、嘔吐、動物などへの恐怖で、日常生活が制限されている
  • 不安に加えて、落ち込み、不眠、不登校、自己否定がみられる

続いている期間だけで判断する必要はありません。期間が短くても、登校、食事、睡眠などへの影響が大きい場合は、相談のタイミングです。

自傷のほのめかし、死にたい気持ち、食事や水分がとれない状態、家庭だけでは安全を保てない状態がある場合は、早めに医療機関や専門機関へご相談ください。

はじめに

「学校に行く前になると、お腹が痛くなる」

「発表や音読をとても怖がる」

「家族から離れられない」

「何度も同じことを確認する」

「家では話せるのに、学校では声が出ない」

「突然、動悸や息苦しさが起こる」

子どもの不安は、本人が「不安です」と言葉で説明するとは限りません。

身体の不調、登校しぶり、回避、確認、怒り、涙、沈黙などの形で現れることがあります。

本人は、わざと避けたり、周囲を困らせたりしているわけではありません。危険を知らせる警報が強く鳴りすぎているような状態になっていることがあります。

当院では、不安を「甘え」「性格」「努力不足」と決めつけず、どのような場面で困り、生活にどのような影響が出ているかを整理します。

子どもの不安症とは

不安は、本来、危険を避けるために必要な反応です。

初めての場所、試験、発表、友人関係などで緊張すること自体は、自然なことです。

一方で、不安や恐怖が強く、避ける行動が増え、学校生活や家庭生活に支障が出ている場合には、不安症が考えられます。

子どもの不安症には、分離不安症、社交不安症、全般不安症、場面緘黙、パニック症、限局性恐怖症などがあります。

複数の不安が重なっていることもあります。また、こころや身体の状態、ASD・ADHDなどの発達特性が関係している場合もあります。

診断名だけで考えるのではなく、本人がどの場面で困り、生活にどのような影響が出ているかを確認することが大切です。

子どもにみられる主な不安症

分離不安症

分離不安症は、保護者など安心できる人から離れることに、年齢や発達段階に比べて強い不安を感じる状態です。

登園や登校が難しい、保護者の外出を極端に嫌がる、一人で眠れない、保護者に何か起こるのではないかと繰り返し心配するといった形で現れます。

登校前の腹痛や吐き気、玄関や校門で動けなくなるなど、身体症状や行動として現れることもあります。

無理に引き離すのではなく、安心できる人や場所を確保しながら、離れて過ごせる時間を段階的に広げます。

社交不安症

社交不安症は、人から見られること、評価されること、失敗すること、恥ずかしい思いをすることへの不安が強い状態です。

発表、音読、先生への質問、給食、集団活動、初対面の人との会話などを避けることがあります。

「人見知り」「おとなしい性格」と捉えられやすい一方で、本人は強い緊張や動悸、発汗、腹痛などを感じている場合があります。

少人数で練習する、原稿を読む、個別で発表するなど、取り組みやすい方法から参加を広げます。

全般不安症

全般不安症は、学校、成績、友人関係、家族の健康、災害、将来など、さまざまなことを強く心配し続ける状態です。

一つの心配が解決しても、別の心配が次々に生じることがあります。

何度も安心を求める、失敗を恐れて行動できない、完璧にできないと取りかかれない、眠れない、集中しにくいなどの症状を伴うことがあります。

心配を否定するのではなく、実際に起きていることと心配していることを整理し、行動できる範囲を少しずつ広げます。

場面緘黙

場面緘黙は、家庭など安心できる場所では話せるにもかかわらず、学校や園など特定の場面では、声を出して話すことが難しい状態です。

本人が意図的に黙っているわけではなく、不安や緊張によって声が出にくくなっています。うなずき、表情、指さし、筆談などで意思を伝えられることもあります。

無理に発言させるのではなく、発話以外の方法を認めながら、信頼できる人との一対一のやり取り、少人数での発話へと段階的に進めます。

パニック症

突然、強い恐怖や不安とともに、動悸、息苦しさ、めまい、震え、発汗、吐き気、胸の苦しさなどが起こることがあります。このような急激な症状をパニック発作といいます。

発作を繰り返し、「また起きるのではないか」と心配して、電車、教室、集会、外出などを避けるようになる場合は、パニック症が考えられます。

身体疾患でも似た症状が起こるため、症状や経過に応じて身体面の確認も行います。

限局性恐怖症

限局性恐怖症は、特定の対象や状況に対して、非常に強い恐怖を感じる状態です。

動物、昆虫、注射、採血、血液、嘔吐、雷、高い場所、暗い場所、閉所、乗り物などが対象になることがあります。

恐怖のために通学、受診、予防接種、学校行事、外出などが難しくなっている場合には、支援が必要です。

無理に慣れさせるのではなく、本人が取り組める小さな段階を設定します。

よくあるサイン

子どもの不安は、言葉だけでなく、身体症状や行動の変化として現れることがあります。

  • 不安な場面で、腹痛、頭痛、吐き気、動悸、息苦しさなどが出る
  • 学校、発表、音読、外出など、特定の場面を避ける
  • 家族から離れられない、何度も安心や確認を求める
  • 失敗を恐れて行動できない、不安な場面で固まる
  • 家庭では話せるのに、学校や園では話せない
  • 特定の対象への恐怖で、日常生活が制限される
  • 不安のために、遅刻、欠席、保健室利用、睡眠の乱れが増える

このような状態が続く場合は、本人の性格だけで片づけず、不安が強くなる場面と生活への影響を整理することが大切です。

年齢ごとの見え方

0~5歳

幼児期は、不安を言葉で説明することが難しく、泣く、固まる、保護者から離れられない、登園を嫌がる、夜泣き、腹痛などの形で現れることがあります。

家庭では話せるのに、園ではほとんど話さない場合には、場面緘黙の可能性も考えます。

6~11歳

小学生年代では、登校前の腹痛や頭痛、教室に入れない、発表や音読を避ける、失敗を強く怖がるといった形がみられます。

本人が不安をうまく説明できず、体調不良として訴えることもあります。

12~15歳

中学生年代では、対人関係、周囲からの評価、発表、集団場面への不安が強くなりやすい時期です。

不安が続くと、登校しぶり、不登校、睡眠リズムの乱れ、抑うつ、自己否定が重なることがあります。

パニック発作が現れ、教室や電車などを避けるようになる場合もあります。

16~18歳

高校生年代では、進路、受験、単位、友人関係、将来への不安が現実的な問題として強くなります。

本人の自立性を尊重しながら、続けられていることや、支援があれば再開できそうなことを整理します。

診断と評価

子どもの不安症は、腹痛や頭痛、登校しぶり、沈黙、怒り、回避など、さまざまな形で現れます。そのため、一つの症状や検査結果だけではなく、不安が生じる場面と生活への影響を総合的に確認します。

診察では、主に次の点を整理します。

  • どのような場面で不安や恐怖が強くなるか
  • 登校、発表、会話、外出など、避けていることがあるか
  • 腹痛、頭痛、吐き気、動悸などの身体症状があるか
  • 睡眠、食事、学習、対人関係にどの程度影響しているか
  • 安心を求める行動や、家族から離れにくい状態が強くなっていないか
  • 抑うつ状態、強迫症、睡眠障害、起立性調節障害などが重なっていないか
  • ASD・ADHDなどの発達特性が関係していないか

年齢や状況に応じて、本人だけでなく、保護者や学校からの情報も参考にします。必要に応じて質問紙や心理検査を用いることがありますが、検査結果だけで診断を決めるものではありません。

また、腹痛、頭痛、動悸、息苦しさなどがある場合には、すべてを不安による症状と決めつけず、症状や経過に応じて身体面も確認します。

不安が続く仕組み

不安が強い場面を避けると、その場では一時的に楽になります。

しかし、避けることが続くと、「この場面は危険だ」「自分にはできない」という感覚が強まり、次に同じ場面へ向き合うときの不安がさらに大きくなることがあります。

例えば、発表を避け続けると、発表そのものへの不安が強くなることがあります。

確認行動でも、何度も安心を得ることで一時的には落ち着いても、次第に確認しないと不安が下がりにくくなることがあります。

支援では、不安を無理に我慢させるのではなく、本人が取り組める小さな段階を設定し、「不安があってもできた」という経験を増やします。

家庭での対応

1.不安を否定せず、具体的に確認する

「考えすぎ」「大丈夫だから」とすぐに否定するのではなく、まず本人が何を怖がっているのかを確認します。

「どの場面が一番つらいか」「体のどこに症状が出るか」など、具体的に聞くと整理しやすくなります。

2.安心させ続けすぎない

不安を受け止めることは大切ですが、同じ確認に何度も答え続けると、確認しないと安心できない状態が強まることがあります。

確認を急に拒否するのではなく、本人の状態を見ながら、回数や答え方を少しずつ調整します。

3.小さな目標を作る

いきなり通常登校や大勢の前での発表を目標にせず、本人が取り組める段階に分けます。

例えば、校門まで行く、短時間だけ別室に入る、少人数で話す、筆談で意思を伝えるなどの方法があります。

4.行動できたことを評価する

「不安がなかったか」ではなく、「不安があっても少し行動できたか」を振り返ります。

結果だけでなく、取り組んだ過程を評価することが大切です。

学校での配慮

1.登校方法を調整する

通常登校が難しい場合は、短時間登校、遅刻登校、別室登校、保健室登校などを検討します。

本人が学校とのつながりを保てる方法を考えます。

2.発表や会話の方法を調整する

社交不安が強い場合は、少人数での練習、原稿を読む、個別で発表するなど、負担の少ない方法から始めます。

場面緘黙がある場合は、うなずき、筆談、タブレットなど、発話以外の意思表示も認めます。

3.体調不良時の対応を決める

保健室で短時間休む、授業へ戻る時間を決めるなど、休息と復帰の両方を考えます。

身体症状をすべて不安によるものと決めつけず、症状が強い場合や繰り返す場合は、身体面の確認も必要です。

4.学習負担を調整する

不安や完璧主義のために課題へ取りかかれない場合は、課題量を絞る、締切を分ける、優先順位を決めるなどの調整が役立ちます。

5.支援方針を共有する

担任、養護教諭、学年主任、スクールカウンセラーなどで、不安が強くなる場面、利用できる配慮、次の目標を共有します。

支援と治療

子どもの不安症では、不安を完全になくすことだけを目標にするのではなく、不安があっても生活できる範囲を少しずつ広げます。

1.心理教育と環境調整

不安が身体症状として現れることや、避けることで不安が続きやすくなる仕組みを、本人と保護者の方に分かりやすく説明します。

家庭での声かけ、安心確認への対応、学校での配慮などを整理し、本人が取り組みやすい環境を整えます。

2.心理支援・認知行動療法

認知行動療法では、不安を引き起こす考え方や身体反応を整理し、避けている場面に少しずつ取り組みます。

登校、発表、会話、外出などを本人が取り組める段階に分け、「不安があってもできた」という経験を増やします。

無理に不安場面へ向かわせるのではなく、不安の種類や本人の状態に合わせて進めます。

3.家庭・学校との連携

子どもの不安は、診察室での対応だけで改善を目指すものではありません。

家庭での関わり方や、登校方法、発表、課題、休息場所などの学校での配慮を整理し、家庭・学校・医療で支援の方向を共有します。

4.薬物療法

不安が強く、睡眠、登校、食事などの生活機能に大きな影響がある場合は、薬物療法を検討することがあります。

年齢、症状、発達特性、抑うつ症状、身体状態などを確認し、必要性と副作用を慎重に検討します。

薬物療法を行う場合も、心理支援や環境調整と組み合わせます。

子ども・思春期の不安症については、認知行動療法とSSRIの双方に短期的な有効性を支持する研究がありますが、治療法は年齢、症状、生活への影響、併存する状態を踏まえて個別に判断します。

当院のスタンス

当院では、子どもの不安を「気が弱い」「心配性」「甘え」として片づけず、本人がどのような場面で困り、何ができなくなっているかを一緒に整理します。

診断名をつけることだけを目的とせず、家庭や学校で何を調整し、本人がどの段階から取り組めるかを考えます。

心理支援、家庭・学校との連携、必要に応じた薬物療法を組み合わせ、本人とご家族が続けられる支援を目指します。

よくある質問|FAQ

Q.不安障害は性格の問題ですか?

A.性格だけの問題ではありません。

不安が強く、登校、学習、睡眠、食事、人間関係などに影響している場合は、支援が必要になることがあります。

Q.腹痛や頭痛も不安と関係しますか?

A.関係することがあります。

子どもの不安は、腹痛、頭痛、吐き気、動悸、めまいなどの身体症状として現れることがあります。ただし、身体疾患が隠れている場合もあるため、症状が強い場合や繰り返す場合は、身体面の確認も大切です。

Q.家では話せるのに、学校では話せません

A.場面緘黙の可能性があります。

本人が意図的に黙っているとは限りません。無理に発言させず、話せる場面と話せない場面、筆談などで意思表示ができるかを確認します。

Q.突然の動悸や息苦しさはパニック症ですか?

A.パニック発作の可能性がありますが、身体疾患でも似た症状が起こります。

発作後も不安が続き、外出や登校を避けるようになっている場合は、医療機関へご相談ください。

Q.学校は休ませた方がよいですか?

A.一律に休ませる、無理に行かせる、のどちらかで決める必要はありません。

本人の不安や体調に合わせて、短時間登校、別室登校、保健室利用など、続けられる方法を考えます。

Q.認知行動療法は子どもにもできますか?

A.子どもにも行うことができます。

不安の仕組みを理解し、不安が強い場面を小さな段階に分けて練習します。保護者の方や学校と連携しながら進めることもあります。

国内外のトピック

国内では、厚生労働省が、心配や不安が過度に強くなり、やりたいことや必要なことができなくなっている場合には、不安障害の可能性があると案内しています。子どもでは、学校での活動や成績への不安、睡眠、集中、身体症状などとして現れることがあります。

海外でも、症状の有無だけでなく、学校生活、家庭生活、対人関係、発達への影響を含めた評価が重視されています。NICEの社交不安症診療指針は、学齢期から17歳までの子ども・若者を含め、認識、評価、心理的支援について示しています。

近年は、不安を完全になくしてから行動することを目指すのではなく、本人が取り組める段階に分け、不安があっても生活できる範囲を少しずつ広げる支援が重視されています。家庭や学校を含めて支援環境を整えることも大切です。

参考文献

※本ページは、上記の資料等を参考に、一般の方に分かりやすい表現で作成しています。診断や治療の内容は、年齢、発達段階、症状および生活状況によって異なります。

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まとめ|次の一手

子どもの不安障害では、強い心配や恐怖によって、登校、発表、対人関係、家族から離れること、外出などが難しくなることがあります。

子どもの不安症には、分離不安症、社交不安症、全般不安症、場面緘黙、パニック症、限局性恐怖症などがあります。

大切なのは、不安を否定することでも、不安に合わせてすべてを避けることでもありません。本人が取り組める小さな段階を作り、不安があってもできることを少しずつ増やします。

当院では、不安の種類だけでなく、身体症状、睡眠、学校生活、家庭での対応、発達特性などを含めて整理し、家庭・学校・医療で続けられる支援を考えます。

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登校前の腹痛や頭痛、強い緊張、確認行動、発表や音読への不安、家族から離れることへの不安などが続き、学校生活や家庭生活に影響している場合は、ご相談ください。

家庭では話せるのに学校や園では話せない、パニック発作への不安から外出できない、特定の対象への恐怖によって生活が制限されている場合も、受診をご検討ください。

キッズハートクリニック外苑前では、お子さまの不安と生活への影響を整理し、家庭・学校で続けられる支援を一緒に考えます。

監修・更新情報

監修:篠原一之

キッズハートクリニック外苑前 院長

児童精神科医/長崎大学名誉教授/医学博士

最終更新日:2026年7月13日

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