伝えたいから言葉が育つ
こんにちは。キッズハートクリニック外苑前 心理士の信吉です。
先日、とある漫画家さんが、漫画家志望の学生さんたちに「画力があるから、読者に伝えられるのではない。読者に伝えようという思いがあるから画力が上がる」とおっしゃっていて、深い言葉だなと思いました。
読者にとって少しでも分かりやすくなるよう、絵で色々な情報を伝えようとすれば、難しい背景やモチーフを描く必要が生じてくる。それでも読者のために逃げずに描き続ければ、画力は自ずとついてくる、ということだそうです。
それを聞いて、とある保育士の方が「幼児は『お友達にお手紙を書きたい』などやりたいことがあるから、文字を覚えていく」とおっしゃっていたのを思い出しました。
カウンセリングでは、様々な理由から言葉で何かを伝えたり、説明したりするのが苦手な方に多くお会いします。
親御様の中には、そんなお子様を心配して、例えば「1日1ページ辞書を読む」など語彙を増やしてもらおうとされる方がおられます。
もちろんお子様がそれを楽しんでくれることもありますし、言葉の知識も増えていくでしょう。
一方で、先ほどの漫画家さんや保育士さんの考え方に基づくならば「伝えたいことがあるから、言葉の力が育っていく」ということもあるのではないかと考えられます。
「言葉で気持ちを伝えたら、親御様が分かってくれて、寄り添ってくれた」「言葉で考えを伝えたら、周りの人が褒めてくれて、楽しい意見交換ができた」→「もっと伝えたい!」とモチベーションが高まれば、言葉や表現をどんどん吸収していくようになるかもしれません。
カウンセリングを通して短期間でお子様の表現力が上がることがありますが、このあたりが関係しているのではと思っています。
ご家庭でもぜひ、新しい言葉を教えてあげるのと同じくらい、もしかしたらそれ以上に、お子様に今できている会話を楽しんでいただくのも、大切かもしれないなと思います。
楽しいコミュニケーションについて、一緒に考えていければ嬉しいです!
信吉真璃奈