対人関係の不安からの回復例
こんにちは。キッズハートクリニック外苑前 心理士の信吉です。
今日は架空事例を通して、対人関係の不安がどのようによくなっていくのかをご紹介したいと思います。
患者様:
Cさん。中学1年生。「お友達はいるけど、相手にどう思われているか心配で、教室に入るのが怖い…」と学校に行けなくなってしまいました。ネットで調べたら「HSP」という特徴に当てはまっているようだけど…?
カウンセリングの経過:
初診で詳しく伺うと「心配しすぎだと分かってるけど、自分の言葉で相手に嫌な思いさせないか気になる」と不安が大きいだけでなく、「冗談やいじりなどのノリがよく分からず、うまく会話に入れない」などコミュニケーションでも悩んでいるようでした。
コミュニケーションでどの程度困りごとを抱えやすいか調べるために、発達障害の検査を受けてみたところ、基準点以下ではっきり診断がつくほどではないものの、いくつか当てはまるエピソードが見られました。元々繊細である上に、人の気持ちがぱっとよく分からないため考えすぎてしまい、色々なことに敏感になっているようです。
カウンセリングでは、Cさんの不安は優しさの表れだけれども、必要以上に大きくなっていることを共有し「バランスのいい不安ってどれくらいだろう?」と話し合いました。
その結果、「人間関係はお互いさまだし、ほどほどでもいいのかな」とバランスよく見られるように。親御様には、Cさんが困りやすいコミュニケーションのポイントや対応をお伝えし、会話のコツをお家で気軽にお話いただくようにしました。
今でも繊細なところはあるけれど、「悪気はなくても相手を嫌な気持ちにさせることはあるかも。その分みんなを助けてあげればいいんだよね」と笑顔を見せてくれるように。遅刻しながらも少しずつ学校に通い始めています。
<心理士より>診断名(発達障害)や気質(HSP)など大きな枠組みは大切ですが、カウンセリングではお子様の特徴も細かく具体的に見ていくようにしています。今回は、ご家族にご協力いただきながら考え方(不安)と体質(発達の凸凹)それぞれにアプローチできたことで、症状改善に繋がりました。
信吉真璃奈